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2001年8月
今月の小江戸探検隊は、川越市蔵造り資料館を特集します。
数ある蔵造りのうちの一つを川越市が一般公開しています。
さあ、探検のはじまりです。


第13回
川越市蔵造り資料館

 川越は蔵造りの街と呼ばれます。川越の歴史的景観を代表する一番街を中心に、重厚な蔵造り商家が軒を連ね、力強く、それでいてしっとりと落ち着いた街並みを形作っています。また、一番街周辺は蔵造りだけでなく、町屋造り、近代洋風建築など、明治、大正、昭和の建物が混在し、アクセントと多様性を生み出しています。この地域は、平成11年には、通商産業省のグッドデザイン賞を受賞、そしてほぼ同じ地域が文化庁により重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。この地域の中央部北側に川越市蔵造り資料館はあります。

 一番街、中央通りに面して建つ川越市蔵造り資料館の前に立つと、大きく「蔵造り資料館」と黒に近い紺地に白く染め抜かれた暖簾、黒漆喰の壁に、2階の観音開きの扉が目に止まります。川越市蔵造り資料館は、旧小山家住宅ともいい、建物は当時煙草卸商を営んでいた小山文造氏が建設したものです。屋号を『万文(まんぶん)』といい、販売圏は所沢や飯能までに及びました。明治26年(1893)3月、市街地の大半を焼き尽くした川越大火の直後、類焼を免れた数軒の蔵造りにならい、同年の4月19日には上棟を済ませるなど、いち早く復旧に取り組み、川越の蔵造りの中では最も早い時期に建てられたことが調査により分っています。蔵造りにもいろいろなタイプがありますが、建物自体は、派手さはなく落ち着きがあり、清廉かつ優美な印象を私は受けます。

 川越市蔵造り資料館は、建物そのものも“資料”になっているところが面白いところです。店蔵、添屋(店蔵と軒続きの小さな蔵造り。当時は貸店舗のようなスペースだったのではとの指摘あり。現在、川越市観光協会が使用中)、住居、そして3つの蔵が現存しています。現存する部分を見て回ることにより、商いと生活の場である蔵造りをより身近に感じることが出来るでしょう。店蔵を通り抜けた先にある一番蔵(文庫蔵)・二番蔵(煙草蔵)・三番蔵(文庫蔵)には、豪商『万分』や煙草関連の資料、大火関連の資料などが展示され、たいへん興味深い内容となっています。私が訪れた時にも資料をご覧の方々から「昔、こんなタバコあったな。」とか、「川越って、ホント火事が多いのねー。」といった言葉が聞かれました。また、周囲の塀などに赤レンガが使われていて、川越でよく見受けられる蔵造りと赤レンガとの調和がここでも見られます。

 川越市蔵造り資料館には、おすすめポイントがあります。それは店蔵部分の2階。履物を脱いで、階段を上がると、畳の敷かれた部屋があります。この部屋の観音開きの扉の格子窓からは、一番街の往来や時の鐘が見え、「今、川越にいるんだなあ」ということを実感できるはずです。店蔵の2階に上がって、ぜひ格子窓から外を覗いてみてください。

 川越に現存する蔵造りの大半は、職住一体の建物として、現在も使用されています。川越を象徴するモニュメントであり、またこの地域の人々にとっては、心の支えとすら言えるかもしれません。蔵造りがかもし出すその趣は、街に、そして人々にとって、計り知れない力を与えてくれているように思います。これから国や地域の財産として大切にしていかなければならないものの一つといえるでしょう。そのような意味でも、川越市蔵造り資料館を一度訪ねてみてはいかがでしょうか。

 川越市蔵造り資料館をはじめ、川越市立博物館、川越城本丸御殿の3施設には、共通入館券(大人300円、学生・生徒150円、児童80円)などがありますので、川越に来られる際は、ご利用ください。小江戸川越の歴史や文化を知るにはもってこいの3施設です。ゆっくりと、巡ってみてください。

 

次回は、サツマイモ資料館を探検します。


蔵造りの並ぶ一番街にある川越市蔵造り資料館

 


二番蔵(手前)と三番蔵(奥)

 


二番蔵内部、大火関連の展示スペース

 


店蔵2階の格子窓から時の鐘をのぞむ

 

コンテンツ制作にあたり、いくつかの文献を参考にさせていただきました。
また、ご協力いただいたすべての方々に感謝いたします。