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2001年12月
小江戸探検隊は、この12月の回をもちまして最終回となります。
約1年半にわたってお伝えしてきた小江戸探検隊を通じて、
気づいたことや感想などを綴ってみました。


第17回
最終回

 埼玉県川越市は、小江戸と呼ばれ、多くの史跡や文化財があり、多くの観光客の皆さんが訪れます。そんな川越に点在する観光名所などを中心に、その歴史や逸話などをご紹介しながら、川越の魅力を皆さんにお知らせしたいと思い、小江戸探検隊は始まりました。回を重ねるごとに、読者の方からご感想やご質問、ご要望のメールなどを頂戴するようになり、たいへんうれしく思いました。本当にありがとうございました。

 小江戸探検隊を通じてあらためて思ったことは、歴史の中で生み出されてきた様々な文化遺産の上に、川越は成り立っているのだということでした。川越は、江戸から政治的にも文化的にも色濃く影響を受け、その繁栄を享受してきました。江戸幕府の北の守りの拠点として藩主の多くが幕府の重臣であったこと、喜多院の天海僧正が徳川家から信頼が厚かったこと、新河岸川の舟運による江戸との交易が盛んだったことなど、歴史の綾なす糸はいつも江戸とつながり、川越に数多くの文化遺産が残る結果となりました。そして、川越には、与えられたそれらの遺産を今の時代にどう生かしていくかという視点が存在しました。例えば、一番街商店街を中心とする蔵造りをはじめとする町並みについての活動がその好例といえるでしょう。その流れを簡単に追ってみましょう。

 明治26年3月17日の川越大火の後、その耐火性に着目して川越商人たちが再建のために選んだ建物が蔵造りでした。市街地の大半を火災で失いながら、その中に焼け残っていた何棟かの土蔵造りが復興の方向性を決めました。一時は100以上の蔵造りが川越に存在したといいます。しかし、時を経て昭和の高度経済成長期に入ると、蔵造りは少しずづ取り壊されるようになっていきます。押し寄せる時代の波は、暗くて、使いづらい蔵造りを古いものとして敬遠し、葬り去ろうとしていたのでした。

 そんな折、蔵造りが江戸の町を彷彿とさせ、関東でも数少ない貴重な建物群であることを理由に、都内の建築家などの識者を中心に保存運動が起こります。こうした保存運動の中で、寛政4年に建てられた「大沢家住宅」が国の重要文化財になったり(昭和46年)、取り壊されそうだった旧万文(煙草卸商)の建物を川越市が買い取り、「川越市蔵造り資料館」として開館したり(昭和52年)、個々の蔵造りの建物を川越市の文化財に指定(昭和56年に16軒指定、現在は22軒)するなど、歴史的遺産である蔵造りとその町並みを守っていったのです。

 その後、商店街の商店主をはじめ、研究者、専門家、行政が一体となって、「商業活性化による景観保存」という理念のもと、昭和62年に「町並み委員会」を組織します。翌年には提案型自主協定「町づくり規範」を作成し、蔵造りをはじめ、町屋造り、近代洋風建築など、明治・大正・昭和の貴重な建物の保存、その魅力を生かした町づくり、商店街づくりに取り組んでいきます。平成4年からは一番街商店街で電線を地中に埋める工事なども行われ、蔵造りの町並みが広い空に映えるようになったのです。平成11年10月には、一番街商店街を中心とする町並みがグッドデザイン賞(通商産業省)を受賞、ほぼ同じ地域が平成11年12月1日に重要伝統的建造物群保存地区(文化庁)に選定されています。多くの関係者のこれまでの努力が実りましたが、町づくりの努力は今後も続けられていきます。

 このように、蔵造りをはじめ、町屋、時の鐘、現あさひ銀行川越支店など、魅力ある建物群を生かすため、人々が協力し合い、知恵を出し合って行動することで、町並みとその景観を大切にしています。蔵造りの町並みについて例にとりましたが、小江戸探検隊を通じて、そのような遺産を生かしていくために、それぞれの持ち場で日々努力されている方々がいることに気づかされました。町には、さまざまな困難や問題があります。しかし、それを乗り越えていこうとする個人や組織の力が川越の力になっているのだと思います。今後、川越市では、川越市立博物館の隣に「市立美術館」、一番街商店街には「お祭り会館」の開設を予定しています。「市立美術館」では、川越ゆかりの作家を中心とした企画展などが継続的に行われます。一方、「お祭り会館」では、川越まつりで曳き回される本物の山車を展示したりするそうです。どちらも川越には少なかった大型の文化施設ですが、私自身早くできないかとたいへん期待しています。ぜひ川越の新しい顔になってほいしと思います。

 小江戸探検隊は今回で終わりますが、川越の街をしっかりとウォッチして、川越インターネットモールから新しい情報を皆さんにお知らせしていけたらと思います。また、川越インターネットモールの活動を通じて、川越がさらに良い町になるよう取り組んでいきたいと思います。川越について、まだまだ知らないことばかりです。今後とも学習を続けていきたいと思っています。これまで、本当にありがとうございました。それでは、またの機会にお会いできますように。


蔵造りや町屋を生かした店舗が並ぶ一番街の通り。

 


川越のシンボル・時の鐘は町を見守るように立っている。

 


現あさひ銀行川越支店は川越を代表する洋風建築の一つ。

 


重要伝統的建造物群保存地区を表わすモニュメント。


コンテンツ制作にあたり、いくつかの文献を参考にさせていただきました。
また、ご協力いただいたすべての方々に感謝いたします。

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