万文 ゆかりの品々

蔵造り資料館に展示されている煙草卸商万文ゆかりの資料をご紹介します。これらのなかには全国的に希少なものもあり、それぞれに深い歴史があることに気付かされます。

 

煙草ラベル「國府」●煙草ラベル「國府」

この煙草は「國之友」と共に万文の主力商品で、3銭の徳用煙草です。これらの他、「金鶴」という5銭のやや高級な煙草もあり、万文が製造・販売をおこなっていました。専売制が敷かれる以前は、このような多様な包装が特色であったようです。

 

●東京銀座千葉商店 牡丹煙草「蓬莱(ほうらい)」

この煙草は、館内の整理中に煙草蔵の梁の上から偶然発見されたと伝えられているもので、明治37年頃に製造されていた煙草です。このことから、専売制が敷かれる直前には、千葉商店の製品を販売していたことが考えられる貴重な資料です。千葉商店は岩谷商店・村井兄弟商会とともに3大メーカーの一つで、明治22年以降、商標を「牡丹印」として牡丹煙草の通称で売られていました。

牡丹煙草「蓬莱(ほうらい)」

看板「秦野天狗刻烟草」●看板「秦野天狗刻烟草」

この看板は東京芝にあった小さな製造元磯谷の天狗煙草の看板です。中央に「秦野天狗刻烟草」とあり、右に「製造元 磯谷伊三郎」、左に「大販売武州川越町小山商店」と刻まれています。このことから、万文が磯谷製の商品を扱っていたことが考えられます。磯谷は岩谷商店と同じ「天狗印」の商標で煙草を製造し、商標侵害訴訟もありました。専売制が敷かれる以前は、擬似製品名や包装意匠の模倣が多かったようです。ちなみに「秦野」は現在の神奈川県秦野市のことで、葉煙草の産地です。

 

 

●官営「刻煙草定價表(きざみたばこていかひょう)」

この定価表は、明治37年の製造煙草専売法の施行に伴い、翌38年から刻み煙草が発売された際に配布されたものと考えられます。銘柄は四季の草花をあて、最高級品の「福寿草」にはじまり、「白梅」「さつき」と続き、下級品としては「なでしこ」「もみじ」が造られました。定価表の左隅には「武州川越煙草元売捌所 小山商□(□は虫損もしくは破れによる欠損)」の文字があります。専売制が敷かれる以前は、千差万別であった包装や銘柄、品目も煙草専売局によって口付き4種、両切り3種、刻み7種にまとめられ、包装も統一されました。

官営「刻煙草定價表(きざみたばこていかひょう)」

万文の荷箱車●万文の荷箱車

この荷車は、万文が小売店に煙草を配達する際に使われたもので、荷箱の側面には大きく「万文」の文字が書かれていました。

 

 

 

 

こちらの品々は当館三番蔵に展示されています。
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