Sponsored by

2001年9月
9月になり、そろそろサツマイモの収穫の時期を迎えます。
今、家の近くのサツマイモ畑は、濃い緑色の葉で一面覆われて、とてもきれいです。
今年はどんなおいもが食べられるでしょうか、私は今から楽しみにしています。
今回は、サツマイモの料理で知られる「いも膳」の敷地内にある
サツマイモ資料館を探検します。
館長さんから興味深いお話を伺うことも出来ました。


第14回
サツマイモ資料館

 サツマイモ資料館は、平成元年、サツマイモ料理店「いも膳」のご主人、神山正久さんが「いも膳」の敷地内に、私設の資料館として開設しました。サツマイモに関する資料館としては日本で唯一のものです。入館者は開館以来、年に3万人以上。「いも膳」に食事に来たお客さんや総合学習授業の小中学生、また農協職員、生産農家、食の研究グループ、マスコミなどが訪れます。2階建ての建物の中は、サツマイモに関する情報でいっぱいです。

 1階では、全国各地から取り寄せられたサツマイモ商品の展示即売を行っています。沖縄の紅いもジャム、鹿児島のさつまいもキャラメル、宮崎のいもジュースなどなど、もちろん川越名物のいもせんべいもあります。近年、サツマイモは健康食、美容食として注目を浴びていますので、どんどん食べて健康に、そしてきれいになりましょう。また、千葉いも研究会の「いもカレンダー」、川越の「いもポストカード」などもあります。

 2階は、資料展示室となっています。展示はテーマ別になっていて、「原産地」、「サツマイモが日本へ来た道」、「サツマイモの超大国、中国」、「加工品」、「栄養と料理」、「品種」、「青果用のサツマイモの特産地」、「川越がサツマイモで有名なわけ」など。初代館長だった山田英次さんによるイラスト展示がふんだんにあり、たいへん分りやすく紹介されています。展示の内容は、小中学生にも理解できるようにとの配慮がされています。

 平成4年から2代目館長を務めているのが井上浩さんです。もとは浦和高校、松山高校の社会科の先生。専門はサツマイモの文化史で、館員はなんと井上さんお一人なのだそうです。井上館長にお時間を頂戴し、お話を伺ってみました。

お仕事の内容を教えてください。
「サツマイモ情報の受信と発信、展示、展示即売品の販売、調査研究を行っています。サツマイモについての問い合わせは全国からあります。必要な情報を必要な人や場所へ伝えるのが私の重要な役目です。質問等の手紙もいただきますが、全部とはいえませんが出来る限り返事をします。特に子供達からの質問は、的を得た素晴らしいものが多いですね。サツマイモに関するシンポジウムなどへも出席しています。」

そもそも川越は何でサツマイモが有名になったのですか?
「川越は、江戸・東京の焼いも屋用のサツマイモの産地でした。値段も手頃で美味しかったので、江戸ッ子に大人気。本場は川越と決まっていました。ブランドですね。新河岸川の舟運を使って江戸まで運んで行ったんです。最近の川越はサツマイモをお菓子や料理などに加工して販売する街になっています。」

2階の資料展示室には、いろいろなものがありますね。
「世界と日本のサツマイモについて展示しています。ここにある資料や展示品の多くは、関係者の方から寄贈していただいたものです。資料館に来て帰ってから、うちのものも展示してと送ってくれたりします。そういう方々のご協力もあって、今のサツマイモ資料館があるのです。」

ご来館される方々に何を見てほしいですか?
「展示を見て、とにかく何かを感じてほしい。例えば、総合学習授業の小中学生がよく来ますが、こちらから説明するということはしません。でも、興味を持った子供は1階に下りてきて、私に質問してきます。そういう時には、もちろんちゃんと説明をします。こう見ようとか、こう考えてといったことは一切しないので、展示を見ながら、まず自分で感じて、自分で考えてほしいのです。」

 私がお伺いしていた時、沖縄県読谷村からサツマイモ関連の催しへの出席依頼の電話がかかってきました。また、館長は大阪にある国立民族学博物館の根菜農耕の国際シンポジウムに出たこともあります。サツマイモを中心とした交流は、日本中そして世界へも広がっているようです。長い時間をかけての地道な調査研究と、また必要な情報を必要な人や場所へ伝えるという使命を負っての活動が多くの方々の信頼を集めているのでしょう。お話を伺いながら、井上館長にはこれからもますます頑張っていただきたいと思いました。

 サツマイモ資料館(TEL049-243-8243)への入館は無料、開館時間は10時から17時まで。火曜、年末年始が休館です。川越駅、川越市駅、本川越駅からは、歩くとちょっと遠いのと道が分りにくいので、タクシーを使うのが便利です。

 

次回は、三芳野神社を探検します。


年間3万人以上が訪れるサツマイモ資料館

 


1階、サツマイモ商品の展示即売スペース

 


サツマイモ事情が分る2階の展示資料室

 


サツマイモ資料館館長の井上浩さん

 

サツマイモ資料館は平成20年6月1日(日)をもちまして閉館となりました。平成元年のオープン以来、サツマイモ情報の発信基地としての重要な役割を果たしてきましたが、たいへん残念に思います。貴重な資料は川越市立博物館へ移されるそうです。井上先生、ご苦労様でした。

 

コンテンツ制作にあたり、いくつかの文献を参考にさせていただきました。
また、ご協力いただいたすべての方々に感謝いたします。

− 小江戸探検隊トップページへ −

Copyright(C) PLUS-Q INC.